知っておくと役立つ、建設関連の法律を解説

住宅を建てる際やリフォームの際には、建築基準法、都市計画法、廃棄物処理法、道路法、消防法など様々な法律の名称を耳にすることがあります。基本的な法律についてはすでに熟知されている方も多いかもしれませんが、今一度よく使う法律の内容についてご紹介します。

建設業のさまざまな法律について

法律と聞くと難しいイメージを持ってしまいますが、建設業には切り離せない数多くの法律や決まりがあります。ここではよく使われる法律について解説していきます。

建築・リフォームと法律は密接な関係がある

新築・増改築に関わる法律は多数ありますが、よく使われる法律では、建築基準法、都市計画法、廃棄物処理法、道路法、消防法などがあります。

一から建物を建てる場合はもちろんですが、例えば外壁塗装や建物の一部だけをリフォームする際にも、複数の法律が関わってくる場合があるので、知らずにいると法律に抵触することも考えられます。このようなことにならないために、事業者の職種に関係する法律については事前に確認しておく必要があります。

法律と法令の違いとは?

ここで、法律と法令の違いについて確認しておきます。国会で採決されて決まるものが法律であり、その法律に基づいた細部の決まりが命令や規則になります。よって、法令といわれたときは、法律と命令や規則を合わせたものと考えるとよいです。

建築業には、複数の法令が関係し、法律だけでなくさまざまな命令や規則についても理解しておくことが必要です。さらには地方独自の条例などが定められている場合もあります。

法律で大まかな方針を定め、政令や省令で細かな数値規制や運用方針を定めるという構成になっていることが多いです。

建築基準法とは?

「建築基準法」を一番簡潔に言うと¨建物を建てるときに守る基本の法律¨です。その建物で、安全に暮らせるよう建築物や土地にルールを定めたものです。少し詳しく解説すると、建物の敷地と道路の関係、用途制限、建物の構造、防火対策、衛生対策などの項目があります。

実際の施工の際は、建物を使用するまでに3つの確認・検査が必要になります。1つ目が「建築確認」で、建築士が建築計画を提出することが必要です。2つ目は「中間検査」で、自治体が指定した建物などが設計計画通りに工事が行われているかの確認です。3つ目は「完了検査」で、この検査に合格してようやく建物を使用することができます。

切り離せない「都市計画法」

建築基準法に特に密接な法律に「都市計画法」があります。この都市計画法は、行政が都市の将来像を考え、都市計画区域と都市計画区域外とを分けています。都市計画区域では、行政庁が都市の計画的設計を行っており、自由に開発や建築を行うことができません。

また、都市計画区域外でも将来的に都市計画を検討する可能性がある準都市計画域も定めて、ここでも自由な開発はできないことになっています。建築をするときは、この都市計画法と建築基準法に準拠することが必要になります。

そのほかのマストで覚えておくべき法律

その他、建築に関係する法律に、廃棄物処理法、道路法、消防法などがあげられます。特にこれらの法律は建築実務に関係するもので、適切な手続きをすることが必要です。

実務でよく使う法律

<廃棄物処理法>
建築に関係して廃棄物が発生したときは、建築工事の発注者が原則責任を負います。廃棄物の処理に関する法律が廃棄物処理法で、廃棄物の種類ごとの処理の規定や処理状況の報告を行う規定(マニュフェスト)が存在します。廃棄業者に依頼するときにはしっかりとしたマニフェストを提出する業者を選ぶことが重要です。

<道路法>
建物の工事などをする際に、足場を設置することがありますが、足場や朝顔(防護棚)が道路に出てしまう場合には管轄警察署で「道路使用許可」、道路管理者である行政庁で「道路占有許可」を取得する必要があります。このような規定を道路法は定めており、建築業者も理解していることが必要です。

<消防法>
建物の内側の工事にも「内装制限」という決まりがあります。火災の被害を抑えるためや人命を守るために、内装の素材や天井の高さの制限、またスプリンクラーや消化器の設置についても決まりがあります。これらは消防法で定められています。

申請・許可には多くの時間を要するケースが多い

法令に関係する申請・許可は、管轄行政庁に直接出向いて相談する場合が多いです。特に建築物の規模が大きい場合は、複数の行政庁が関係してくるために計画段階でどこの行政庁が関係するかを把握しておかないと、建築後にやり直しになってしまう可能性があります。申請は個人で行うことは難しく、主に専門の建築士が行う場合が多いでしょう。建築物は同じものを量産するわけではないので個体差が大きく、さらに地域ごとのローカルルールが定められているケースもあります。細かい確認事項が多いため許可が下りるまでには時間がかかることもあります。

まとめ

建築業に関係する法律が、いかに複雑であるかを再確認いただけたでしょうか。建築技術が優れていても、建築関係の法律について知らなければ、会社の経営を危うくすることもあり得ます。

知っているつもりの法律も、定期的に内容をおさらいしておくとよいかもしれません。安全な工事を行えるよう注意を払いましょう。