外壁調査にはいくつか種類がありますが、壁面がタイルや石貼り・モルタル仕上げの建物の場合に用いられるのが打診検査。地味な作業に思われがちですが、建物の安全や品質を維持する上で非常に重要な作業です。そこで、本記事では打診棒を用いた検査について、動画付きでご紹介していきたいと思います!
はじめに
みなさま、前回の打診棒の基礎ついての記事はいかがでしたか?打診棒にもいろいろな種類があるということがわかりましたね。しかし、打診棒を使った打診検査については、詳しいことがわからないという方もいらっしゃると思います。ということで、今回はそんな打診棒を使った打診検査のやり方や、検査の際に注意したいポイントを動画を交えながら詳しく見ていきましょう!
打診検査ってそもそも何?
打診検査はテストハンマーや打診棒と呼ばれる検査器具を使用して外壁を叩き、その際に発生する音の高低によって目に見えない外壁の剥離部の有無を判断する検査です。ただ検査棒で叩くだけではなく、直接目で見たり、外壁を触って状態を確認することも非常に重要で、外壁の剥離部以外にもひび割れや爆裂、窓周りやシーリングの劣化などを発見することができます。そして、打診検査を行う際には建物によってタイルの貼り方が違うこともあるので、まずは1フロアをみてどんなタイプか、どこが弱点かを見極めることが非常に重要です。打診検査を怠ると、剥落事故などの大きな事故の発生にもつながるので徹底した検査を行えるようにしたいですね。
それでは、音の違いなどを気にしながら、実際の打診検査の様子を動画で確認してみましょう!
いかがでしたか?動画では、隅々まで打診検査を行い、陶片浮きが疑われる箇所を発見するまでの流れをご覧いただきました。音の違う箇所を見つけたら、叩いたり、手で触れたりしている様子を見てとることができますね。
ちなみにタイル浮き不良の判定が難しい場所の一つに、タイルを壁に接着させるのが比較的難しいコーナー部分(曲がり・まぐさ)が挙げられます。重点的に検査をするようにしましょう。
以上が打診検査についてですが、今回は打診検査においてよく発見される、タイル陶片浮きと下地モルタル浮きの2つについて詳しく説明していきたいと思います!
1.タイル陶片浮き
タイル陶片浮きとは、タイルと貼り付けモルタルの境界が剥離している現象。つまり、タイル部分のみが浮いている状態のことを指し、主な原因としては経年劣化やタイルの破損などが考えられます。またその他にも、タイル貼り付け時の施工不良が考えられ、貼り付けモルタルがタイル裏足に十分充填されていない状況下でも発生します。それでは、実際に陶片浮きが発生している箇所の打診検査を動画で確認してみましょう。
陶片浮きの箇所は動画でもわかるように、音で判断しづらい場合は、指や手の平を当てながら疑わしい箇所を叩いてみましょう。タイルが浮いている場所を叩くと、ちょうどお茶碗を叩くようなキンキンと高い音がなります。また、タイル浮きがあれば叩くと振動するため、タイルを触りながら打診を行うと振動の大きさで浮き範囲がどの程度か判別することができます。
2.下地モルタル浮き
下地モルタル浮きは下地モルタルと躯体の間で境界剥離が起きている状態。築20年以下の建物は建築方法の進化により、外壁の下地にモルタルが用いられているものがほとんどなく、下地浮きが起きるのは、築20年以上の古い建物である場合がほとんどです。原因としては経年劣化や施工不良、地震や台風などの環境的要因が考えられます。そして、下地モルタル浮きが確認された場合は広範囲での浮きの可能性もあるので、周囲の綿密な検査と原因の究明が重要だと考えるようにしてください。
それでは、先程の動画と比較しながら、下地モルタル浮き箇所の検査動画を確認してみましょう。
いかがでしょう、違いはわかりましたか?非常に小さな違いではありますが、下地モルタル浮きの方が陶片浮きと比較して低く鈍いタイル音が鳴っていることがわかります。前述した通り下地モルタル浮きは、広範囲での剥離の可能性もあるので、疑われる箇所を見つけた場合は、改めて周辺の範囲を検査するよう心がけましょう!
まとめ
今回は打診検査の実践編ということでご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。打診検査が建物の価値を維持し、居住者様に安心して生活していただくための重要な作業あるということをわかっていただけたかと思います。打診検査においては、些細な音の聞き分けや異常の発見が大切ですので、本記事を参考に打診検査を行なっていただければ幸いです。
また、別の記事で基礎編として打診棒についてのご紹介をしております。
こちらもぜひご確認ください!