外国人労働者を雇うなら!必ずチェックすべき在留カードについて解説

適切な在留資格がない外国人を雇ってしまうと、不可抗力であっても不法就労助長罪という罪に問われてしまう危険があります。ここでは雇い主が外国人を雇用する前に知っておくべき、在留カードチェックのポイント、偽物の在留カードを見分ける方法と万が一の場合の雇い主側の自衛方法を紹介します。

そもそも在留カードとは?日本における在留管理制度について

在留管理制度とは、日本に3か月以上滞在する外国人を、入管法に基づいて在留状況を適切に把握する制度です。

在留管理制度に基づいて、中長期日本に滞在する外国人に交付されるのが在留カードです。

在留カードには氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されており、当外国人が16歳以上の場合には顔写真が付いています。

在留カードの申請条件は、以下のどれにも当てはまらない外国人です。

①3月以下の在留期間である
②在留資格が短期滞在である
③外交又は公用の在留資格である
④これらの外国人に準ずるものとして法務省令で定める人
(具体的には,台湾日本関係協会の本邦の事務所若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方)
⑤特別永住者である
⑥在留資格を有しない

簡単に言うと、在留カードは中長期の予定で日本に滞在する外国人に対して、出入国在留管理庁長官が中長期滞在を認めたという「証明書」なのです。

日本で外国人を雇用するなら、在留カードの確認が必須!

在留カードには在留資格、在留期間、就労の可否など、外国人を雇用する際には必ず確認しておかなければならない項目が記載されています。
外国人を雇用する際には、不法就労を避けるために在留カードの確認を必ず行いましょう。

「知らない」では済まされない!様々な制約のある、外国人の労働

日本に長く滞在している外国人であっても、在留期間内に就労ができる人と就労できない人がいます。万が一、就労資格がない外国人を雇ってしまうと「不法就労」となり、労働者本人だけでなく雇用者や事業主も処罰の対象になってしまうので、雇用前には入念なチェックが必要になります。

在留カードの確認を怠ると、事業主も処罰の対象に

外国人が不法就労をした場合、労働者本人が逮捕されるだけでなく、雇い主に対しても「不法就労助長罪(3年以下の懲役、300万円以下の罰金)」が課せられます。

しかも不法就労助長罪は、不法就労だと雇用主が知らなかった場合でも、「在留カードの確認を怠った」ことが大きな過失とみなされ適用されてしまうのです。
不法就労助長防止ためにも、外国人を雇用する前には在留カードをしっかりと確認しましょう。

どこを見ればいい?外国人雇用時、在留カードのチェックポイント

外国人を雇用する際には、

・「在留カードの有効期限」

・「就労制限の有無」

・「資格外活動許可の有無」

3点をチェックし、日本での就労が可能なのかどうか、しっかりと確認しましょう。

「在留カードの有効期限」と「就労制限の有無」はカード表面に記載があり、「資格外活動許可」は裏面下部に記載されています。

カードの有効期限は切れていないか(表面)

まずは、在留カードの表面下部に記載されている有効期限を確認しましょう。「このカードは○○日まで有効です。」と記載されているはずです。

さらに、在留カードの有効期限が切れたにもかかわらず雇用し続けた場合も、不法就労助長罪に問われます。いつまで雇用できるのかを、継続的に把握しましょう。

「就労制限の有無」欄に「就労不可」の記載がないか(表面)

雇用できるのは「就労制限なし」もしくは「①在留資格に基づく就労活動のみ可」「②指定書により指定された就労活動のみ可」のいずれかです。②については法務大臣が指定する指定書を合わせて確認する必要があります。

もし就労制限の有無欄が「就労不可」となっていると、原則雇用はできません。しかし、裏面下部の「資格外活動許可欄」に以下の文言がある場合、就労可能です。

就労不可の場合、「資格外活動許可欄」に「許可」の記載があるか(裏面)

就労制限の有無欄が「就労不可」でも、カード裏面の「資格外活動許可欄」に以下のいずれかの記載がある人は、許可された就労時間や就労場所の範囲内で雇用することができます。

①「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
②「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」

資格外活動許可書とは、本人または取次者が入局管理局に申請して取得するものです。カードの資格外活動許可欄に②「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」の記載がある場合には、雇用前に資格外活動許可書を合わせて確認しましょう。

そのカードは有効?「偽変造在留カード」にも注意を!

「在留カードの有効期限」と「就労制限の有無」「資格外活動許可欄」の3つで問題がなかった場合も、最後に在留カードの偽造を疑いましょう。実際に、これまでにも巧妙に作られた偽造在留カードが発見されています。

雇用主と労働者がお互いに信頼感を持って、気持ちよく働くためにも、これらの確認作業は非常に重要です。なお本物の在留カードを見分けるには、以下のような5つの方法があります。

①上下に傾けると、顔写真の左側にある「MOJ」がピンクから緑に変化
②上下に傾けると、カード左端にある縦型の模様が緑色からピンク色に変化
③見る角度を90度変えると顔写真下のホログラムが白から黒に変化する
④暗い場所でカード表面に光を当てると「MOJMOJ…」の透かし文字が出る
⑤左右に傾けると「MOJ」が3D的な動きをする

これらに当てはまらない場合、偽造カードの可能性が高いので注意してください。偽造在留カードに気づかず外国人労働者を雇った場合でも、「不法就労助長罪」に問われます。在留カード原本の確認に加えて、以下2つの対策も実施しておくと、雇用主側の過失がないと証明できる可能性が高まります。


①在留カードの両面コピーを保管
②入国管理局提供の「在留カード等番号失効情報紹介サイト」で、該当の在留カードが有効性を確認し、その画面を保存

偽造防止の様々な工夫が施された在留カードですが、一目で偽物とわからないような巧妙に偽装されたものが出てきています。雇用者側の無過失を証明できるよう、しっかりと自衛をしましょう。

まとめ

建設業や介護業、外食産業など、人手不足が深刻な特定技能14業種では、労働力不足解消のために外国人の雇用が増えています。安心して外国人を雇えるよう、この記事を参考に在留カードのチェック方法や偽造在留カードの見破り方と自衛方法をチェックしておきましょう。