ヒューマンエラーを防げ!安全な現場づくりのためのTips

建設業は労働災害の発生件数が非常に多い産業です。その労働災害の多くは、ヒューマンエラーに起因しているといわれています。この記事では、なぜヒューマンエラーが起きてしまうのか、どうすれば未然に防ぐことができるのかについて紹介します。正しくヒューマンエラーの原因や対策を理解し、大きな事故を未然に防ぎましょう。

約4割がヒューマンエラーに起因?労働災害の発生件数が特に多い建設業

建設業は他の産業に比べて、事故発生確率が高い産業です。

(参考:建設現場の安全

また、建設業は厚生労働省が発表している『「労働者死傷病報告」による死傷災害発生状況(平成30年確定値)』 によると、その他のあらゆる産業の中でも死傷災害の発生件数が最も大きな値を示しています。

(参考:厚生労働省 職場の安全サイト

さらに、その原因として国土交通省近畿地方整備局は平成27年度のデータでは約40%がヒューマンエラーによるものだと発表されているのです。

(参考:国土交通省 近畿地方整備局 管内の工事事故発生状況等とその対策について

そもそもヒューマンエラーとは、意図していないにも関わらず発生する人為的なミスを指します。どれだけ注意をしていても、どれだけ単純な作業をしていても、人間はミスや失敗をしてしまう生き物です。そのことを念頭に置き、未然に防げるように対策をしていきましょう。

人的ミスはなぜ起こる?原因をまとめた「ヒューマンエラーの12分類」とは

ヒューマンエラーの発生を対策していくためにまずは原因を解説します。ヒューマンエラーが起こる原因は、主に12種類です。

「危険軽視・慣れ」
業務に慣れることで危険を軽視してしまった結果発生するミスを指します。少しずつ慣れてきた新人や、ベテランにも起こりがちです。

「無知・経験不足」
特に新人に多く、作業への経験や知識不足によって発生します。

「連絡不足」
現場で作業する人全員に、明確に指示が伝わっていないために発生します。

「集団欠陥」
現場での正しい意識の統一が出来ていないことで起こる、中規模な認識の齟齬により発生します。

「近道・省略行動」
面倒な手順を省略するなどして、正しい作業手順を行わないことで発生します。

「場面行動本能」
一つの業務に集中することで、起こった事象に対して咄嗟に対応してしまう反応のことです。

「パニック」
想定外の状況に直面することでエラーを起こしやすくなる状況です。

「不注意」
注意の散漫や、集中を継続することでエラーを起こしてしまうことです。

「錯覚」
思い込みや、指示の聞き間違い、見間違いなどによって起きるものです。

「加齢による心身機能低下」
記憶力や認識力など、中高年や高齢者に起こる心身機能の低下のことを指します。

「疲労」
長時間の作業などにより心身ともに疲労している時、エラーは起こりやすくなります。

「単調作業による意識低下」
単調な反復作業を長時間繰り返すことで、意識が低下することを言います。

作業員を守る!建設現場でのヒューマンエラーを防ぐための「3つの対策」

ヒューマンエラーは原因を正しく理解することで、発生を減らすことができるものです。具体的なヒューマンエラーの対策方法をご紹介いたします。

ヒューマンエラーは「発生する前提」で安全設備対策を

ヒューマンエラーを完全に防ぐことはできません。そのため、ヒューマンエラーが発生するという前提のもと、「発生しても大丈夫なように安全設備面を充実させる」「発生しないような安全管理を徹底する」という方針をとる必要があります。

具体的には、安全帯や落下防止ネットの設置、朝礼での安全意識の喚起などが挙げられます。どれだけ注意をしていても、発生してしまうのがヒューマンエラーです。常に発生を前提として事前に対策をしましょう。

(参考:中小建設業特別教育協会 ヒューマンエラーを防ぐには?

作業技能・安全衛生知識やヒヤリハット事例は共有しよう

個人で安全対策を行っていくことには限界があります。安全に関する教育はもちろんのこと、集団の力を活用するために安全知識やヒヤリハット事例の共有は非常に効果的です。

朝礼などで、注意事項を共有する時間を設けるのも良いでしょう。そうすることで、同様のエラーを何度も繰り返す状況を防げます。また、ヒヤリハット事例をしっかりと蓄積していくことも重要な対策のひとつです。ヒューマンエラーの防止に対する知識や技能を、全作業員が保有している状況を目指しましょう。

(参考:中小建設業特別教育協会 ヒューマンエラーを防ぐには?

現場で働く作業員のメンタルヘルスチェックも重要!

建設業労働災害防止協会(建災防)が建設業労働者に調査を行い、メンタルヘルスに問題がある作業員はヒヤリハットを体験するリスクが1.2~2.0倍程高いことが明らかになりました。このことから、ヒューマンエラーを予防する上で、作業員のメンタルヘルスに関してしっかりと状況を把握しておくことも大事な要素であることが分かります。

建設業労働災害防止協会(建災防)はメンタルヘルス対策の一つとして、HPで「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」を公開しています。これを活用することで、作業員のメンタルヘルス対策を効果的に行うことができます。実際に活用することで、改善された事例も公開されているので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

ヒューマンエラーをなくすことはできません。しかしヒューマンエラーの要因を正しく理解して、発生することを前提とし、日頃から対策を講じることで発生件数を減らすことはできるでしょう。現場での作業員だけでなく、作業員と監督者が協力して、ヒューマンエラーの件数削減につとめましょう。